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BOYCOTT RHYTHM MACHINE II VERSUS 完成によせて 2004年の末にリリースしたBOYCOTT RHYTHM MACHINEは、今までの凝り固まった「ジャズ」という概念を転覆させたミュージシャン達による、正にその転換期となったタイミングの空気をパッケージすることが出来た作品でした。 その制作中、レコーディングやライブにてミュージシャンから幾度となく垣間見える、共通するある感覚に強く感銘を受けていました。それは、彼らの持つ「即興演奏」に対する研ぎ澄まされた感覚です。ジャズというフォームでは最も根深いところに位置する考え方。単にプレイの側面だけに留まらず、行動そのものが即興の積み重ねであり生き様に繋がっていく、ということを見出すことが出来ました。それはとてもリアルであり、僕自身の人生観をも変えてしまうようなものでした。 その感覚を、作品としてうまく伝えるにはどうしたら良いのかーーー。 それは、前作に参加してもらったジャズを中心としたミュージシャンと、全く違うイディオムの若手ミュージシャンとを対戦形式で組み合わせて『ヴァーサス』してもらう、言い換えれば「プロレス」をしてもらうことで、年齢やイディオムの違いによってアーティスト同士の感情が真っ向からぶつかり合い、即興でありつつもエンタテインメントである作品が出来上がるのではないかと考えました。さらに、現在と未来を指し示す、現場で活躍するアーティストが1つの作品に集うことで、時代のありのままが「音楽」というフィルターを通して見えてくるではないか、、、と早くも企画段階で成功の確信を得てニンマリしていました。 しかし迎えた2005年10月3日録音/撮影初日、会場であるSuperDeluxe全体を覆った緊張感は今思い返しても、尋常ではありませんでした。スタートしたものの、果たして7回に及ぶ初顔合わせのセッションがすべて無事に遂行され、なおかつ、想い描いくような未だ誰も味わった事の無い空間を創り上げ、それを伝えきることができるのだろうか??? ・・・結局のところ、そういった不安は取り除くものではなく、内側に含めながらアーティストをはじめこのプロジェクトに関わるチームスタッフみんなの「即興性」や「勘」といった、良い意味での人間の持つ”曖昧さ”で乗り切るしかないだろうと、それを踏まえながらバランスの良いエンタテインメント作品を作り上げるしかないんじゃないか、と回を重ねながら徐々に方向性が固まっていきました。 そういった意味でもこの作品は、8ヶ月にも及ぶこのプロジェクト自体のドキュメントでもあり、だからこそ言えるのは、ここで出来上がった7つの物語は、とあるひとつの視点から日本の音楽シーンを切り取ったものに過ぎないということです。この作品を手に取ってくれた方々には、取り上げたアーティストやもちろんそれ以外のアーティストが毎晩のようにあちこちで魅せている音楽による感情のぶつかり合いに、自分の勘を頼りに足を運び続けて欲しいと願っています。DJ BAKUがラストで語ってくれているように。 最後に。 大きなリスクを承知でこのプロジェクトに御参加いただいたアーティストの皆さんに、この場を借りて心から感謝の気持ちを伝えさせてください。 素晴らしい演奏、ほんとうにありがとうございました。 2006.06.07 vinylsoyuz 清宮 陵一 (ライナーより転記) |