Package Bomb!!

PHOTOGRAPH

2007-12-19 発売 / LACD-0128 / ¥1,500(税抜)+税 /

Package Bomb!!はスピーディーに押しまくるわけでもなく、曲展開が斬新なわけでもなく、驚嘆するフレーズを織り込んでいるわけでもない。あるのはシンプルかつストレートに研ぎ澄まされた、グッド・ヴォーカル&メロディの正攻法パンクだ。最新トレンドに沿ったイマドキのメロディック・パンクではなく、自分の趣味嗜好に合ったパンク観を躊躇なく貫き通している。だが、彼らが大好きで聴いてきたグリーン・デイやハイスタを軸とする90’Sメロコアと素直に向き合い始めたのは、なんと今年に入ってからだ。出遅れるにもほどがあるが、それが彼らの立ち位置を浮き立たせ、最大の個性になっているところがユニーク極まりない。
 そして、早くも届いた2ndミニ・アルバム『PHOTOGRAPH』は、彼らのゴーイング・マイ・ウェイぶりにますます拍車がかかった最高の出来栄えだ。前作1stアルバム『What it makes』にも大興奮したが、今作もそれに匹敵、あるいはそれ以上の素晴らしさを誇っている。前作にも増して直球の中のド直球、だからこそ胸の奥底にズッシリ響く。
バンド結成は99年に遡る。音楽的な流行に目もくれない、ちょっとヒネくれ者のyutaka(Vo/G)を中心に高校の同級生と始めたことに端を発する。最初は地元の水戸、宇都宮をメインにライヴ活動を行っていた。しばらくして新宿、渋谷などにも積極的に足を伸ばし、地道な活動を続けていく。01年には渋谷GIG-ANTIC企画のオムニバス盤『FINE』(SPICE OF LIFE Records)に参加した。
 翌年02年にtakao(B)、それから少し間が空いた04年にyu(Dr)が加入し、その3ピース体制で05年に1stミニ・アルバム『I’m Living On』を発表する。聴いてもらえばわかるが、B級パンク感炸裂のどこかいなたい雰囲気が漂っている。それはバンドの狙いでもあったらしく、洗練されたものより土臭い方が自分たちらしいと判断したのだろう。もちろん、そこには流行りモノに括られたくないという主張もあった。音楽的にはロックンロール、ポップス、オールディーズなどを下敷きにしたパンク・ロックという様相で、ザ・ワイルドハーツに通じる一癖ある曲展開も当時は試みてい た。初の単独音源ということもあり、やりたいことをいろいろ詰め込んだ作品と言える。ただ人懐こいポップ性と口ずさみたくなるメロディは、この頃から非 凡なセンスを光らせていた。5曲目「Promise」なんて、めちゃめちゃキャッチーでいい曲だ。
その1stミニのレコ発で全国20カ所ツアーを行った後、地方にライヴで呼ばれることがあり、そこで対バンしたバンドに「まんま90年代のメロコア」という音楽的扱いを受けることになる。そこまで言われるんだったら、もっと素直に自分の好きな音楽を吐き出していいのではないか。そこで彼らのルーツでもあるメロコアに真正面から向き合う決意が固まった。それから06年にyuが脱退し、deryckが新ドラマーに加入したこともメロコア路線に大きく舵を切る要因にも繋がった。メンバー曰く「ベタなかっこ良さ」を求めるderyckを迎えた新3ピース体制で挑んだのが、今年4月にリリースされた1stアルバム『What it makes』だ。小難しさや装飾を一切削ぎ落とし、自分の体にたっぷり染み込んだ王道メロコアをスコーン!と鳴らす爽快さにシビれた。それと同時にボーイ・ミーツ・ガール的な歌詞を用いたコンセプト・アルバムに仕上がり、情けない男性主人公の心情を克明に描き上げた。その歌心を9曲目「Lost My Heart」(名曲!)で惜しげもなく花開かせ、哀切メロが急浮上した点も楽曲への感情移入をさらに高めた。エアロスミスのバラード「Whats it takes」のカヴァーも白眉。
 前作から約8カ月、冒頭でも軽く触れた通り2ndミニ・アルバム『PHOTOGRAPH』が完成した。裏声を巧みに使いこなす柔軟なヴォーカルが冴えている1曲目「Always」、ビートルズばりのメロディ・センスを臭わせる2曲目「The Winter」、前作に引き続き日本語詞を用いた4曲目「カメレオン」の出来も非常にいい。彼らは日本語曲も嫌味なく聴かせるハマリ具合を見せている。作品全体としては前作の延長線上ではあるが、さらに肩の力が抜けてナチュラルに演奏しているような印象を受ける。脳天気な陽気さや漆黒の暗闇は、ここにはないかもしれない。喜怒哀楽の感情が灰色なら灰色のままスパークしている。等身大の中の等身大、ほんとイマドキ珍しいほど歌とメロディで堂々勝負できる貴重なパンク・バンドだと思う。今作のぬくもりに満ちた切ないメロディは、クリスマス・シーズンにもピッタリと言えるだろう。

TEXT:荒金良介

  • 1. Always
  • 2. The Winter
  • 3. How To Smile
  • 4. カメレオン
  • 5. Shining